Research

ステップファミリーの困難さや子どもの適応

 日本では、新たな結婚カップルの約26%のどちらかが再婚で(厚生労働省,2017)、ステップファミリー(親の再婚あるいは新たなパートナーとの生活を経験した子どものいる家族)も増加していると考えられます。

 ステップファミリーは、夫婦と子どもで構成され、一見すると初婚継続家族と同じですが、ステップファミリーに関する国内外の質的研究では、


(a)親の新たなパートナー(継親)は、子どものしつけ役割を担わず、仲良くなる戦略を取ることが継親子関係にとって重要であること(Ganong et al., 1999; 野沢・菊地,2014)

(b)同居実親は、継親との関係を優先するのではなく、継親と子どもの関係を仲介する役割を取ることが同居実親と子どもの関係でも重要であること(Cartwright et al.,2002;野沢,2015)


が明らかになっており、初婚継続家族とは異なる配慮の必要性が示唆されます。そこで、定量的なデータを用いて、以下の2点を明らかにすることを目指します。


①親(同居実親、継親、別居実親)のどのような関わりが子どもの適応を左右するのかについて、質的研究で得られている仮説を検証する。

→親の離婚・再婚を経験し、現在青年・成人期の継子を対象に質問紙調査を行い、同居実母、別居実父および継父のかかわりや親同士の関係性得点を用いて、潜在クラス分析による類型化を行い、クラス間で心理的適応に差があるかを比較しました(詳細はこちら)。


②ステップファミリーの同居実親、継親のステップファミリーに関する信念が、婚姻満足度やステップファミリーを巡る困難さとどのように関連するのかを検討する。 

→Higginbotham & Adler-Barder (2008)が作成した再婚信念尺度(Remarriage Belief Inventory: RMBI)およびSchramm &Higginbotham (2009)が作成したステップファミリーに関する困難さを尺度(Revised Questionnaire for Couples in Stepfamilies: RQCS) の日本語版を作成し、尺度の妥当性を検証しました(詳細はこちら)。

→夫婦ペアデータを用いて、再婚信念と夫婦関係調整、ステップファミリーに関する困難さとの関連を検討しました(詳細はこちら)。


 (①、②ともに、現在論文化の準備を進めています。)